病院・介護施設を一体運営…職員不足・資金難対応


Yomi Dr.

政府は、病院と老人ホームなどの介護施設を一体運営できるようにする新制度を2015年から始める方針を固めた。6月下旬にまとめる成長戦略に盛り込む。
 地域の病院や介護施設が一つのグループになることで、病院から在宅介護サービス、介護施設への移行をスムーズにし、高齢者一人一人に応じた切れ目ないサービスを提供できるようにする。
 具体的には、民間企業の持ち株会社にあたる「親法人」の下に医療法人社会福祉法人を置き、運営を統合する。厚生労働省が新法の制定や関連法の改正を含め検討を進める。
 現状では、医療と介護は経営主体がバラバラなため、病院から退院後、介護施設に入所したり、在宅介護サービスを受けたりしたくても、事業者を見つけるのが難しいことが多い。
 また、多くの介護施設は規模が小さく、職員不足や資金難に悩んでいる。複数の施設が連携することで、忙しさに応じて互いに介護職員や看護師を融通しあったり、医療機器や介護設備などの共同購入を行ったりして経営の安定化を図る。
 グループの規模が大きくなるため、銀行などからより良い条件で融資を受けやすくなることも期待されるほか、施設間でお金を貸し借りして資金繰りの負担も軽くする。
 病院間の連携では、拠点病院に患者が集中し、救急患者を受け入れられないといった事態が起きないよう、グループ内の病院ごとに急性疾患と慢性疾患への対応をすみ分けることなどを想定している。これまで、地域によっては急性期病院ばかりで、リハビリ病院が少ないなど偏りがあった。
 介護に詳しい日本総合研究所の斉木だい氏は「介護施設は規模の小さい事業所が多く、人材確保も難しい。(施設間で)人材の融通ができるようになれば、個々の夜勤業務が減るなど、職員の負担軽減も期待できる」と指摘する。
 従来は、医療法人と社会福祉法人は設置基準が異なり、互いに連携するのは難しかった。
 
 医療法人 医療法に基づき、病院や診療所、介護老人保健施設を開設することを目的に設立されている。
 社会福祉法人 特別養護老人ホームや介護老人保健施設の経営など、社会福祉関連の公益性の高い事業を行う。社会福祉法で定めており、政府や自治体が一定額を補助している。
(2014年6月4日 読売新聞)

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