重粒子線がん治療患者数、年間目標を突破…鳥栖のセンター開業1年

Yomi Dr.

九州・山口で唯一の重粒子線がん治療施設「九州国際重粒子線がん治療センター」(鳥栖市原古賀町)が、開業から1年を迎えた。
 昨年8月下旬の治療開始からの患者数は年間目標の200人を5月に早々と突破。治療の予約もすでに200人を超えており、開業初年から順調な滑り出しをみせている。
 センターは昨年5月29日、国内4か所目の重粒子線がん治療施設として開業。がん病巣の位置を調べ、ピンポイントで炭素イオンを照射して、がん細胞を死滅させる。正常な細胞へのダメージを最小限に抑えられ、副作用が少ないのが特徴だ。
 昨年8月から、手始めに前立腺がんの患者の治療を開始。その後、同12月には骨軟部と頭頸とうけい部、今年3月には肺や肝臓、膵臓すいぞうなどを対象に加えた。治療期間は約1か月程度。照射のための費用は保険適用外で、原則、314万円の自己負担が必要になる。
 センターでは、治療する患者数の目標を1年目に200人、2年目400人、3年目650人、4年目800人と設定。5月23日現在、治療中を含む患者数は207人で、1年目の患者数は250人を超える見通しで、予想を大きく上回っている。
 センターは増加の理由について、「民間保険会社のセミナーで講演するなど、積極的なPR活動が功を奏した」と分析。県内に限らず、福岡市などでも行っているため、患者の住所別では、福岡県が115人で最も多く、全体の55・5%を占め、次いで、佐賀県37人、長崎県13人、熊本県11人と続く。遠くは中国地方や関東地方からも患者が訪れているという。
 センターでは、医師5人、医学物理士4人、診療放射線技師6人、看護師3人の人員で開院したが、増加する患者数に対応するため、この1年で診療放射線技師2人、看護師3人を加え、今年はさらに、医師と医学物理士を1人ずつ増員する計画だ。
 また、現時点で、優先順位を決めて治療しているため、早急な治療が必要なのに待たされる患者の発生はないという。
 ただ、今後も治療の希望者が増える見込みで、センターを運営する公益財団法人「佐賀国際重粒子線がん治療財団」はスタッフの増員や新たな機械の導入を進める。財団の北村信専務理事は「トラブルが起きないように、早めに手を打つことで患者の増加に対応したい」と話している。(大島朋幸)
(2014年6月3日 読売新聞)

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