骨折なのに「専門外」女性の救急搬送38回拒否


Yomi Dr.

埼玉県川口市内で転倒して脚を骨折した女性(57)が昨年2月、複数の病院から計38回にわたって救急搬送の受け入れを拒否されたことが同県への取材で分かった。
 女性は悪性リンパ腫の既往歴があり、「専門外」などの理由で拒否されたという。
 県消防防災課によると、女性は昨年2月の夜、川口市の自宅風呂場で転倒し、救急出動を要請した。女性がかかり付けにしていた病院は満床だったため救急隊員が搬送先を探したが、「専門外」などの理由で38回拒否され、2時間22分後に受け入れ先が決まった。
 昨年1月には、春日部市の路上で住所不定の男性(81)が倒れているのを警察官が見つけ、春日部署で保護した。男性の顔色が悪くなったことから救急出動を要請したが36回にわたって断られ、搬送までに5時間8分かかった。身元引受人がいなかったことが影響したとみられる。
 同課によると、昨年の県内の救急車の出動は31万4000件、搬送人員は27万6000人でいずれも過去最多。2分に1回救急車が出動し、県民26人に1人が搬送された計算だという。
 重症者のうち約9%は4回以上受け入れを断られた。理由は「手術・患者対応中」「処置困難」「ベッド満床」などが多かった。
 搬送した人のうち約半数は入院を必要としない軽症で、「交通手段がない」「どこの病院に行けばいいかわからない」という理由で救急車を呼んだり「平日は休めない」「日中は用事がある」などの理由で救急外来を夜間や休日に受診したりした人もいるという。
 同課は「本当に必要な救急搬送ができなくなる恐れがある。救急車の正しい利用を考えてもらいたい」としている。
(2014年6月3日 読売新聞)

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