がん診断わずか20分 秋田大など装置開発

Yomi Dr.

手術中でも容易に


 がん細胞かどうかを約20分と従来の3分の1以下の時間で検査できる医療装置を秋田大学医学部と県産業技術センターなどが開発した。
 摘出範囲を手術中に診断することも容易になり、再手術などの患者負担の軽減につながると期待される。すでに製品化し、12日に販売開始した。
 開発に携わった秋大の南谷佳弘教授、同大付属病院の南條博教授、同センターの赤上陽一副所長、販売を担当する東京の医療機器販売会社「サクラファインテックジャパン」の佐々木正尚社長が12日、県庁で記者会見して発表した。
 南谷教授らによると、手術中に腫瘍が悪性かどうかや転移の有無などを判断する病理診断は、患者から採取した組織を染色し、専門の病理医が顕微鏡で微妙な違いを見極めるのが一般的。1時間以上かかる上、「砂場の中で石を見つけるようなもの」(南谷教授)のため、見逃しが出ることもあるという。
 新たに開発した装置では、採取した組織に電圧をかける方法で、染色するまでの時間を大幅に短縮し、組織の免疫反応を利用することで染色の違いもはっきり分かるようになったという。開発には経済産業省の助成を受けた。
 製品名は、「ヒスト・テック R―IHC」(愛称・ラピート)で、幅約30センチ、奥行き約46センチ、高さ約30センチ、重さ約16キロ。製造は秋田エプソン(湯沢市)が中心になり、アクトラス(横手市)など県内企業が携わる。希望小売価格は1台350万円(税抜き)で、3年以内に60台の販売を計画している。
 サクラファインテックジャパンの佐々木社長は、「画期的な技法。当面は日本で販売して実績を作りたい」としている。
 開発では、神戸大や北海道大、弘前大など7大学1病院に試験的に使用してもらい、医師や検査技師の要望を集約したという。病理を担当する南條教授は、「秋田大だけで成功しても医学界では信用してもらえない。体感してもらうことが技術を広める近道」と話している。
(2014年5月13日 読売新聞)

0 comentarios :

Publicar un comentario